ディズニーランドのハードル
出勤して早々、女子大学生のトモコが
笑顔で俺の方へ駆け寄ってくる。
「ぺらいちさん、
一緒にディズニー行きません?」
「え?いいけど。誰がくんの?」
「え、私ですけど・・・」
「はい?」
「あ、別にムリに
じゃないんですけど」
ディズニーといえば、
恋人たちのデートスポット。
ディズニーデートに誘うって、
告白も同義だと思ってたんだけど・・・
アニメキャラクターのように
コロコロしててかわいいトモコは、
冗談を言うタイプではないし、
そこまで軽い女の子とも思えない。
「ん? 2人? デート?」
「デート?? まぁ、そうですね~」
うん、やっぱり俺が思う感じじゃないよな、これは。
「え?俺でいいの?」
「はい。誰でもいいです。」
誰でもいい?もしや財布として
連れていかれるってことか?
そりゃ勘弁だな~
「いや~・・ゴメン」
「え~残念です」
「でもさ、男と2人で結構行くの?」
「え?行きますよ」
「好きでもない子と?」
「はい」
ふ~ん・・・
どうやら、最近の若い子の
ディズニーデートのハードルは、
俺が思っていたよりも
かなり下がったらしい。
これが
ジェネレーションギャップ
というやつか?
時代も変わったな~
でも、
じゃあ・・・
アンナも普通に
ディズニーデート誘えるってことか?
俺は軽い調子でアンナに声をかける。
「アンナ!今度ディズニー行こうぜ!」
「え?どうしたんですか?誰とですか?」
「え・・・2人で」
「え~~~~。2人はイヤです」
「・・・だよね~」
え?!あっけなく振られたし。
もしかして俺ってアンナに嫌われてる?!
ディズニーハードルは下がったんじゃないのか・・・
「ヒロセさ~ん。
ディズニー一緒に行きません?」
トモコだ。
今度は
演劇フリーターのヒロセに
声をかけている。
「え~~。また~?!
トモコ、先月何回行っとんの?」
「う~ん、15回くらいかな~」
週4!!??まじかよ!
どうやら、トモコは、
かなりのディズニーオタクで
年間パスポートで
いつでも行き放題らしい。
それだけ行ってれば、
ハードルも下がるということか。
「なーんだ、
そういうことか・・・」
俺は、シレッとアンナに
断られた事実を
感じないようにしていた。