初デートと言っていいんでしょうか?
今日は、待ちに待ったアンナとの初デート。
まぁ、服を選んでもらうだけだけど。
いや、ショッピングも立派なデートだ!
アンナの学校が終わる夕方に
水道橋で待ち合わせをする。
「お待たせしました~」
「おつかれー。わざわざ、ありがとね。」
アンナが、自然と、東京ドームシティに
向かって歩き出すので、並んで着いていく。
「普段、どんなところで服買ってるんですか?」
「え?あ~結構テキトーに」
「え?この前のおそ松くんTシャツは?」
「・・・あれは、ラクーア」
俺は、東京ドームに隣接している
融合商業施設ラクーアを指さす。
「今日は、どこらへんで買いたいですか?」
「いや、お任せするよ」
でもなんか高いブランドの店とかに
連れていかれたらどうしよう。
正直、そんなお金ないしな・・・
でも、安いのが良い
なんて言えないし・・・
「でも高いのムリですよね?」
「え?」
「池袋にしましょう!近いし。GUあるんで」
あんま素直に喜べないけど、
助かった~~
でも、GUなら俺も行くことあるし、
今までとさほど
変わらないんじゃないかな・・・
そして、池袋のGUに到着。
平日だからか、そんなに人がいない。
あ、この前買おうか悩んだ服だ・・・
すると、俺が手に取った服を見て
アンナが悲鳴をあげる。
「え?ちょっと待って!!なにそれ~!!」
「え?」
「くっそダサいっ。
ちょっとこっち向いてください」
すると、アンナはスマホを取り出し、俺の写真を撮り始める。
パシャ!パシャ!
「ぺらいちさんは、
胸板がぺらっぺらだから、
首元が隠れるほうがいいですよ」
え・・・面と向かって言われると
ショック・・・
アンナはタートルネックを取り出し、
俺の体に当てる。
「あぁ、やっぱいいですね。
意外と、シックな感じが
似合うと思うんですよね~」
そして次々にアンナは服を選んできては、
俺の体にあてていく。
「これ!!チェスターコート!!」
アンナは持ってきたコートと
タートルネックと合わせる。
「いい!!絶対いい!!
なんか別人みたいですよ!」
「ほんとに?」
同じGUでも、選ぶ服、
組み合わせによって、オシャレに
見えるんだなぁ・・・
すると、アンナはまたパシャパシャと
俺の全身写真を撮り始める。
パシャ!パシャ!
「ちょ、どんだけ撮るんだよ~」
「いいじゃないですか~」
「やめろよ~」
「アハハハ」
うわぁ・・・なんかこれ、
なんかすごい幸せだ・・・
しばしの間、海辺のカップルの如く
イチャイチャタイムを味わった俺は
正気に戻る。
そうだ、お礼。
「今日はありがとね」
パシャ。
「あ、全然いいですよ。
私、人の服選ぶの好きなんで」
パシャ。
アンナは、相変わらず、
俺の体をクルクル回しながら、
全身の写真を何枚も撮っている。
なんか照れてきた・・・。
「おいおい、
そんなに撮ってどうするの~?」
パシャ。
アンナは屈託のない笑顔で言う。
「いや、私今度、学校で、
ダサい人を変身させるっていう課題が
出てるんですよ~。
それに使わせてもらいたいなって」
あ、そうなんだ・・・
でも・・・なんか
それでも全然いい・・・
「え?ダメですか?」
「え!全然いいよ!!!」
俺は親指を立て、ニッと笑う。
「あ、ちょっと動かないで」
「あ、は~い」