豹変
「おい!誰だよ!
これ間違えたやつ!!!」
カサハラが叫んでいる。
ホールの誰かが、
「串焼きの盛り合わせ4つ」を
「串揚げの盛り合わせ4つ」と
間違えてオーダーしたことが発覚。
揚げものを担当していた
カサハラは、すでに串揚げを
大量に揚げていたので、
ブチギレている。
「これどうすんだよ!マジで!
他のオーダーも溜まってんのに!」
そこへ、追い打ちをかけるように
お客さんから揚げ物の請求が。
「すみませーん!
唐揚げ請求きてます!!」
ヤバイ・・・。
カサハラの顔は引きつり、
イライラはMAXに達している。
「はっ!?
この串揚げのせいなんだよ!
いいかげんにしろよ!」
「まぁまぁ・・・」
なんとかなだめようとするが、
こうなってしまったら
もう手がつけられない。
「マジうぜー!」
周りも何も言えず、キッチンの
空気もピリピリしだす。
「あの~~、
すみませんでした・・・」
そこへ、オーダーを間違えたホールの
女の子がキッチンまで謝りに・・・。
その女の子は、先日入った
ばかりの大学1年生の女の子で、
カワイイと評判の子だった。
今にも泣きそうな、
その女の子を前にして、
カサハラの表情が一変。
「え!!!いいんだよ~~。
おれもよくやる、よくやる!
この串揚げ、余っちゃったから、
後で食べなよ~」
おいおい、
なんだその猫なで声は・・・。
カサハラの豹変ぶりに
キッチン一同、唖然としていた。