ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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俺の将来性

俺がまだ県内有数の進学校に通う高校生の頃
文化祭で知り合った学外の女の子に告白された。

その子は、そこまでブスというわけでもなく、
女子高に通う普通の女の子だった。
正直タイプではなかったので、断り続けていた。

「俺のどこがいいん?」
「う~ん、全部好き」
「いや~」
「それに、オノくんって、
 なんか将来性があると思うの」
「はぁ・・・。だけど、う~ん・・・、ゴメン」

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それからもしつこくメールが来ていたが、
無視し続けていると連絡は無くなった。
そして大学受験を経て、
俺は横浜国大に合格し、上京した。
上京してしばらくすると、
アドレスも変えていたはずなのに、
どこから聞き出したのか
その女の子から、またメールが来た。
その子も東京の大学に進学したらしく、
仕方なく、また会うことになった。

「今、付き合ってる人いますか?」
「いるよ」
ホントはいないが、あまりにしつこいので
ウソをついた。
「そうなんだ・・・」
「だから、もう連絡せんでくれん?」
「・・・」

それから大学を卒業し、
友達が大手企業に就職する中
俺は何を勘違いしたか役者を目指し、
知り合いの劇団の舞台に出るようになった。
しかし、そんな簡単に芽が出るはずもなく、
アルバイトで生計をたてる毎日。
そんなある時、SNSにメッセージが届いた。
あの女の子からだ。

「まだあなたのことが忘れられません。
 今どこで働いてますか?」
ほんっと、しつこいなぁ!
どんだけ俺のこと好きなの?
でもまぁ・・・、
チケットノルマもあるし、丁度いいや。

「お~久しぶり! 俺、実は今、
 役者やってるんだ。
 今度舞台があるから観に来てよ」

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舞台と言っても小さな劇場。
しかも俺のセリフも一言二言で、端役も端役。
けど、この際、
観に来てくれるんなら誰でもいい。
会場の場所と日時をメールで送り付ける。
ラッキー。これでチケット1枚売れた。

しかし、それ以来、待てども待てども
女の子からの連絡は来なかった。

将来性かあ・・・。
役者の俺は、もう用無しかい! 

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