ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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俺の履歴書

時が来た!
金がない。夢もない。女もいない。
男32歳、フリーター生活始めました。 

 

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「えっと、オノくんね・・・」
「はい」
「32歳」
「はい」
「へ~、国立大学出てるんだ」
・・・からの~。
「今まで、何してたの?」


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俺は今、居酒屋のアルバイトの
面接を受けている。
どこを受けても、大学名を見たあとに
出てくるのは、決まってこの質問。
地元広島の某有名私立高校を出て、
現役で横浜国立大学に進学。
順風満帆な船出だった。

・・・のはずだった。

「俳優養成所に行ってたのか。
 何か出演したの?」
「ええ、小さな小屋ですけど、
 いくつか舞台に」

大学卒業後、
周りが続々大手企業に就職する中、
「俺は、皆とはひと味違った人生を生きる!」
と息巻いて俳優養成所に入り、役者をめざした。
一応、身長は180㎝あるし、顔は・・・
まあ、それなりに大学時代には彼女もいた。

「なんでやめちゃったの?」
「はい、時が来たなと」
「時が来た……?」
「役者を卒業する時が来たと思って」

 

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それは、板野友美がAKBを卒業する時に
言ったセリフだ。
人生には、潔く去るべき場面があるのだ。
俺は、ビッグになることを夢見た役者の世界を
一度も主役を演じるチャンスもなく見限った。

その後は、ひたすらアルバイトで
食いつなぐ日々。
ある時、パチンコ屋で働いたのが
きっかけで、自分もパチンコにハマる。
バイトで稼いだ金は、
そのままパチンコ台に吸い取られ・・・。
そして、そうなるべくして迎えた借金生活。

もともと太りにくい体質ではあったけど
ひどい食生活とあいまって、
せっかくの180㎝の長身も
ただただ細長いヒモのように見える。

屋内での潜伏時間が圧倒的に長く、
そんじょそこらの美白女子に
負けないくらいの白い肌が、
よけいに不健康さをプラスしている。
いっそのこと、キャリアウーマンの
ヒモにでもなりたい・・・。
それにしては、母性本能をくすぐるような
甘い顔でも性格でもない。
この数年、恋すらしてねーぞ!!
俺って、なんて不器用な人生なんだ。

たしかに今、
「みんなとはひと味違う人生」を歩んでいる。
うん。ヤバい方に・・・。

「うち、大学生ばっかだけど大丈夫?」
「自信あります!」

役者時代に鍛えた腹式呼吸で、
無駄なボリュームで返事をする。

「じゃあ、さっそく明日からよろしく」

え? 採用決定!? おっしゃ!!
やっぱ、こういう時に国立大学出たのが
効いてくるんだな。

「いや~、フリーター欲しかったんだよね!!
 今、猫の手も借りたいくらい忙しいから。
 なるべくたくさん入ってくれる?」

 

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あ、そこね・・・。俺は、猫の手ね・・・。

かくして、俺のフリーター人生が始まった。