ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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伝説

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東京ドームには、
競馬の場外馬券場WINSがあるため、
バイトの大学生たちは
競馬部というものを作り、
休憩になると
みんなの予想大会が始まる。

俺も直感で参戦。

「おれ、この馬にしようかな」

「いや、今日は1600mの短距離だから、
 適正はこの馬だね。
 前走で4着なんだけど
 最後追い込んできてたし、
 今回絶対来る。

 今回得意の左回りだし。
 しかも毎年このレースでは
 ディープ産駒
(父親がディープ・インパクト
 が
勝ってるってデータもあるから」

膨大なデータを駆使し、
もっともらしい解説をするのは店長。

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「へぇ~そうなんですか。
 じゃぁそっちの方がいいか」

にわかファンの俺はホイホイと
店長の予想に乗ろうとする。

「止めた方がいいですよ」

そこへカサハラが止めに入る。

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カサハラ曰く
過去10戦ほど連続で、
店長が本命とする馬は
負けているという。
中にはダントツ1番人気で
優勝確実とされていた馬でさえ、
店長の予想に選ばれ、
負けてしまうという伝説まで作った。
それからというもの、
大学生の間では、
店長の買った馬を外せば勝てるとさえ
言われるようになっていた。

「今回は違うんだな~」

と豪語する店長だったが、
さすがに、そんなクソ予想屋の言うことを
聞くわけにはいかない。
俺は店長の予想する馬をはずし、
最初の直感の馬に賭けた。

そしてレーススタート。

俺の買った馬は、
出だしは良かったものの
後続にどんどん追い抜かれビリ。
そしてなんと、
店長の一番推していた馬が
大差で勝利。
10連敗の店長の悪運を
凌駕するほどツイてない俺って・・・

「うぁ~~~!」

横でなぜか店長の
雄叫びが聞こえる。

「え?店長の買った馬じゃないですか!」

「・・・いや~俺、
 最後の最後で変えたんだよ。
 オノくんと同じ馬に」

「え?」


・・・店長の予想する馬は外れる。
その伝説はやはり本物だった。

 

ハマーンが来ない

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「あいつ!なんで来ねえんだよ!!!」

朝から店長が怒りMAXだ。
糖尿病を患っている派遣社員ハマーン
月曜から2日間出勤していないらしい。
月曜、火曜と「病院に行く」と
電話してきたらしいが
3日目の今日はついに連絡もつかない。

「クソっ!しょうがねぇな~」

店長は、仕方なく
ピンチヒッターの
職人タカさんに連絡する。
タカさんは腰の曲がったお爺さんで、
たまにしか出勤してこない。
今日も家で休もうとしていたようだが、
仕方なく来てくれた。

ハマーンが来ないんだって?」

「そうなんだよ。
 相当辛そうな声だったから
 家でぶっ倒れてんだろ、どうせ。ハハ」

しかし、タカさんは笑って一蹴する。

「ちがうよ。
 ボート(競艇)だよ。
今、愛知で
 『ボートレースダービー』っての
 やってるんだよ。」


確かにハマーン競艇場がある
平和島に住むほどの
競艇狂いということは、
みんなの知るところではある。

「まさか~。それはさすがにないでしょ」

「いや、月曜から来てないんでしょ?
 ダービー月曜からだもん」

「え~?・・・ちょっと調べてみて」

店長に言われ、調べてみると、
たしかに今週の月曜から
『ボートレースダービー』という、
競艇ファンにとっては外せない、
年に一度の一大イベントが
愛知で始まっている。
ハマーンが休みだした日程と
バッチリかぶっている。

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これは・・・競艇行ったな・・・

「うん、絶対、来ないね」

タカさんは自信を持って言う。
人生経験の長いタカさんが言うと
なんだか信憑性がある。
そんな中、店長は一人反論する。

「いや、それはない!!
 もし今日来なかったら、
 もうクビだよ!クビ!!」

「じゃぁ賭けるかい?
 今日ハマーンが来るか来ないか」

タカさんは不敵な笑みを浮かべている
・・・

そして、いつの間にか、
タカさんと店長の間で、
ハマーンが今日
出勤してくるか、
出勤してこないかの
賭けが始まる。

「賭けって、何賭けんの?ジュース?」

「いや、それじゃつまんないから
 焼肉オゴリね。バイトの分も」

タカさんはノリノリだ。

「ヤッター!!!」

その場にいたバイトたちも、
焼肉をオゴッてもらえると聞いて、
店長を賭けから降ろさせない
ムードをつくる。

「店長は来る方でいいんですね?」

「え、おいおい・・・焼肉?!!」

店長はいきなり大きな金額になり
少し尻込みしているようだ・・・

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「え、ちょっと待って。
 マジかよ。
焼肉って・・・。
 うーん・・・
 いや、今回は、ホントに
 辛そうな声だったから、
 あれは演技じゃないと
 思うんだよな~・・・」

みんなの『早く決めろ』という
視線が店長に注がれる。

「よ、よしっ。・・・来る!

 来いっ!ハマーン!バカヤロー!!!」

 


そして・・・
昼過ぎになり、
何も知らないハマーン
ひょっこり出勤してきた。

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「店長、悪い!!
 スマホのバッテリーが切れてて・・・」

いつもならハマーンに対して
毒舌の店長も、賭けに勝ったからか、
心なしか優しい。

「お~ハマーン・・・!!
 大丈夫か?体?」

ハマーンが来ないことを
確信していたタカさんは
ビックリしている。

「おい、ハマーン!何で来たんだよ!
 競艇行ってたんだろ?」

「え・・・?い、い行ってないよ~」

あやしい・・・

結局、ハマーンが昨日、一昨日
競艇に行ってたのか、
真相は分からないが、
俺たちバイトからしたら
焼肉を食べれれば
どちらでも良かったのだった。

「タカさん、ゴチになりまーす!!!!」

言いたいッ!!!

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トモコと映画の中の
カッコいいシーンの話になった。
 
「大軍勢に向かっていく前に、
 大将が軍を鼓舞するシーンって
 カッコイイよね」


「あ~わかります~」

俺は久しぶりに見返した映画
【ロード・オブ・ザ・リング】の
シーンを思い描く。

「【ロード・オブ・ザ・リング】のさぁ・・・
 アラゴルンが

 軍を鼓舞するところいいよね」

「あ~わかります!
 アラゴルン、
 カッコイイですよね!」


アラゴルンが敵の大軍勢を前に
怯えきった兵士たちを鼓舞する言葉が
相当カッコイイのだ。
トモコも同調してくれて、
俺の気分も乗ってくる。

俺はアラゴルンの
カッコいいセリフを
言おうと、前のセリフから説明する。
 
「『もしかしたら悪が
 この世を支配するかもしれない、だが・・・』」

 

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すると、ふいにトモコが、横から入ってくる。

「『それは今日じゃない!!!』
 ですよね~
 かっこいいですよね~」

・・・くそぉ
1番言いたいところを
横取りされた・・・。 

しかし気を取り直して、
その後のさらに
カッコいいセリフを準備する。

「そう!それ!!でさ、
 最後の突撃の前のアラゴルンも
 もっとかっこいいよね。

 アラゴルンがこう振り返って・・・フ」

「『フロドのために』ってやつね。」


「そう!!!」

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もうっ!!!

なんで俺の言いたいセリフ
全部先に言っちゃうの!
結局、最後まで
俺の言いたかったセリフは
言わせてもらえなかった。

ディズニーランドのハードル

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出勤して早々、女子大学生のトモコが
笑顔で俺の方へ駆け寄ってくる。
 
「ぺらいちさん、
 一緒にディズニー行きません?」
「え?いいけど。誰がくんの?」
「え、私ですけど・・・」
「はい?」
「あ、別にムリに
 じゃないんですけど」

 

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ディズニーといえば、
恋人たちのデートスポット。
ディズニーデートに誘うって、
告白も同義だと思ってたんだけど・・・
アニメキャラクターのように
コロコロしててかわいいトモコは、
冗談を言うタイプではないし、
そこまで軽い女の子とも思えない。

「ん? 2人? デート?」
「デート?? まぁ、そうですね~」

うん、やっぱり俺が思う感じじゃないよな、これは。

「え?俺でいいの?」
「はい。誰でもいいです。」

誰でもいい?もしや財布として
連れていかれるってことか?
そりゃ勘弁だな~

「いや~・・ゴメン」
「え~残念です」
「でもさ、男と2人で結構行くの?」
「え?行きますよ」
「好きでもない子と?」
「はい」

ふ~ん・・・
どうやら、最近の若い子の
ディズニーデートのハードルは、
俺が思っていたよりも
かなり下がったらしい。
これが
ジェネレーションギャップ
というやつか?

時代も変わったな~
でも、
じゃあ・・・
アンナも普通に
ディズニーデート誘えるってことか?

俺は軽い調子でアンナに声をかける。

「アンナ!今度ディズニー行こうぜ!」
「え?どうしたんですか?誰とですか?」
「え・・・2人で」
「え~~~~。2人はイヤです」
「・・・だよね~」

え?!あっけなく振られたし。
もしかして俺ってアンナに嫌われてる?!
ディズニーハードルは下がったんじゃないのか・・・

 

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「ヒロセさ~ん。
 ディズニー一緒に行きません?」

トモコだ。
今度は
演劇フリーターのヒロセに
声をかけている。

「え~~。また~?!
 トモコ、先月何回行っとんの?」
「う~ん、15回くらいかな~」

週4!!??まじかよ!
どうやら、トモコは、
かなりのディズニーオタクで
年間パスポートで
いつでも行き放題らしい。

それだけ行ってれば、
ハードルも下がるということか。

「なーんだ、
 そういうことか・・・」

俺は、シレッとアンナに
断られた事実を
感じないようにしていた。

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ソフトバンク・・・ハンパねぇ!

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突然ですが、
ソフトバンク
ものすごく強い。

クリーンナップの
ギータ(柳田悠岐選手)、
グラシアルとデスパイネ
2人の外国人選手をはじめ、
とにかく
1番バッターから9番まで
全員が打てる爆発力のある打線・・・

そして、
過去7年間で4回も日本一に
なっていて、
(2011、2014、2015、2017)
短期決戦での勝負強さがあり、
大舞台に慣れている
選手も多い・・・


俺はカープファン。

ではなぜ、
今日の記事のタイトルが
ソフトバンク・・・ハンパねぇ!」
で、ソフトバンクの事を
つらつらと書いているのか・・・。

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そう、俺はある事に
気づいてしまった。

なんの因果か、
俺が記事に書くと、
その選手、チームが
調子を落とす・・・


今シーズン限りの引退を発表した
カープ新井貴浩選手の
記事を書こうとすると、  

peraichikun.hatenablog.com

 
そこまで7連勝中のチームが
そこから6連敗・・・。



そして、「鯉のプリンス」こと
カープ堂林翔太選手の
応援記事を書くと・・・

peraichikun.hatenablog.com

 
その翌日、堂林の一軍登録が
抹消されて二軍へ・・・。


そして、先日、
西武の記事を書くと・・・

peraichikun.hatenablog.com


その翌日、西武のクライマックス
シリーズ敗退が決定・・・。


なにこの負の連鎖。
俺は黒魔術か
何かの使い手なのか?

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はい。
俺にそんな能力あるわけないっすね。

「オレが応援すると負けるんだよなぁ~」
なんて言ってる、
そこらへんのオジサンの
戯言と一緒です。

でも!!!!!
昨日、カープの記事を
書いちゃったから
どうしても気になるんです・・・。

ましてや、日本シリーズの相手は
強敵ソフトバンク

だからソフトバンク
記事を書いたらもしかしたら
・・・と、

なんだか相手の不運を祈るようで
イヤですが・・・
カープの記事も書いたし、
これで、おあいこということで・・・


そりゃ、もちろんカープ
勝ってもらいたい!!!

でも、両チームともここまで
必死に勝ち上がってきて、
当然、強い思いで日本一を
目指していると思うので、
正々堂々、戦って
熱く、素晴らしい試合を
見せて欲しい!!!


あ、ちなみにこれは、 オマケですが、
Twitterでもこんなことがありました。



初めてC&Kというアーティストのことを
つぶやくと2日後・・・



両足骨折?!!!

いやいやいやいや、
俺のせいじゃない!!!
気のせいです。きっと。

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日本シリーズのチケットゲット!!!

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少し遅くなったけど・・・

広島東洋カープ
クライマックスシリーズ(CS)優勝
おめでとう!!!!!

カープファンとして、
これほどの喜びはないっ!
間近で、生で、その瞬間を、
好きな人と・・・
応援できてたらなぁ・・・

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・・・そうだ!
日本シリーズ
観に行こう!!!


そして実は、俺・・・
かなり入手困難と言われる
日本シリーズのチケットを
ダメもとで応募していた。

そして、奇跡の当選!!!!!!

以前の熱狂的プロ野球ファン、
ヤマちゃんの件があるので、
一応チケット3枚にしときました。
(ナイス俺!!!)

<ヤマちゃんの件について
 詳しくは前回の記事をどうぞ ↓> 

peraichikun.hatenablog.com

 
日本シリーズ
埼玉のメットライフドームでの
カープVS西武のチケット3枚!!
ゲット!!!

アンナは埼玉西武ファンてことが
分かったし、
これでまたアンナを誘える!

ヤッタ―――!!!

でも・・・
そのためには、
クライマックスシリーズ
広島カープと西武が
勝ちあがることが
大前提・・・

はい。
昨日、見事に西武が
ソフトバンクに負け、
敗退が決定しました。

よって・・・
日本シリーズ

広島VSソフトバンク

その瞬間、
せっかくの
俺の当選チケットは、
落選扱いに・・・

なぜかというと、
日本シリーズは、
両リーグから勝ち上がった
2チームの本拠地で
試合があるので、
開催地ごとのチケット販売。

広島のマツダスタジアムカープ)、
東京ドーム
ジャイアンツ)のどちらかと、

埼玉のメットライフドーム(西武)、
福岡ヤフオク!ドーム
ソフトバンク)のどちらか。

俺は埼玉西武のチケット
だったので、
西武がソフトバンク
負けた時点で、
落選扱いとなったのでした・・・

はぁ・・・
マジで???
せっかく当たったのに?
どーして???
どーしていつもこーなる!!!???

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まぁ!!!
とりあえず、我が広島カープ
勝ち上がったんで、
必死で応援しますけどね!!!

がんばれー!

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記念すべき初デート

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昨日の記事を読んで頂いたみなさんは
もう、お察しかもしれませんが、
最近、気になる子ができた。
この俺にも、やっと
春がきた・・・!!
とはいえ、まだ付き合ったりとか
いうにはほど遠く、
ただ気になっただけなのだが・・・
それでもここ5、6年、
彼女どころか好きな人すら
できなかった俺にしては大進歩だ。

相手は、バイトの専門学生アンナ。
今まで大学生だと思っていたのだが、
よくよく話を聞いてみると、
どうやら
ファッションの専門学校?らしい。

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最初から興味があったわけ
でもないのだが、
人懐っこく、
30オーバーなオジサンな俺とも
壁をつくることなく、
きさくに話しかけてきてくれるので、
毎日話しているうちに
いつの間にか気になっていた。
久しぶりに人を好きになる気持ち。
あわよくば付き合えたらなぁ・・・
しかし、それにはいくつものハードルを
越えなければならない。ていうかムリ。
相手はまだ学生だし、
年の差なんて10歳以上ある。
俺なんかフリーターで32歳だし。
お金ないし。イケメンでもないし。
細長いし。挙げればきりがない。

そうしたあきらめの中、
悶々とした日々を過ごしていた俺に、
絶好のチャンスが到来した。

「オノちゃん、これあげる」

店長が何かのチケットを差し出している。

「野球のチケット。
 2枚貰ったんだけど、

 おれ興味ないからあげる。
 誰か誘って行ってきなよ」

「マジっすか?!」


埼玉西武の
クライマックスシリーズ(CS)
ファイナルの対決ですけど?!!

普通、CSのチケットなんて
中々手に入らないのに、店長
なにもん???

ファンなら喉から手が出るほど
欲しいチケット。
俺はカープファンだが、この際、
どのチームだろうと関係ない。

とにかくアンナを誘うチャンス!
まぁ、野球なんて
興味無いだろうけど・・・
普通にデートを誘うのは勇気がいるが、
チケット貰って、
一緒に行く相手を探している風なら、
きっとそこまで
ハードルは高くないはず。

「ねぇ、アンナ、この日さぁ、空いてる?」

「え?どうしたんですか?」

振り向いたアンナの顔に見ると、
とたんに緊張してしどろもどろになる。

「いや・・・これ野球の
 チケット2枚貰ったんだけどさ。
 一緒に観に行く人いなくてさ。
 ・・・いや誰でもいいんだけど。

 もし明日空いてるんだったら
 どうかなって・・・」


「え!!!行きたい!!!」

「え?!!!」

「私、西武ファンなんです!!」

「そうだったの?!」

マジかよ!なんてこった!!
そういえば確か、アンナの家って
埼玉って言ってた気がする。
西武ファンとは知らずに誘ってみたけど
これは・・・
神様が後押ししてくれている
としか思えない。

「え~いいんですか~?!!」
「もちろん!じゃぁ・・」

その時、ふいに後ろから
誰かの叫び声が聞こえる。

「ぺらいちさ~~~~ん!!
 聞きましたよ~!

 店長から貰いましたよね!
 明日のチケット!!!

 私!行きたーーーい!!!」

・・・ヤマちゃんだ。
ヤマちゃんは、
各球団の二軍キャンプにいくほど
熱狂的なプロ野球ファンの大学生の女の子。

たのむ。ヤマちゃん空気を読んでくれ・・・

 

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「CSチケット譲ってください!!!
 西武の試合!
 ホンッとに見たいんです!」

ヤマちゃんは早口でまくしたてる。

「え・・・」
「ぺらいちさん、
 カープファンでしたもんね!

 お願いします!!!」

ハァ・・・違うんだよ・・・
アンナも、ヤマちゃんの勢いに
圧倒されてポカンとしている。

「いや・・・」
「わ~~~!!ホンットに
 ありがとうございます!!

 マジマジマジ恩に切ります!」

いや、まだあげるって言ってないのに・・・
貰う気でいるし!

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「ちょっと待って・・・」

俺は説明しようとするも、ヤマちゃんは、
両手で拝むようなポーズを繰り返し、
全然聞いていない。


「ありがとうございます!
 ありがとうございます!!

 え!!アンナさんも行くんですか?!」
「あ、私西武ファンだから・・・」

「えーー!!そうなんだぁ~!!

 じゃぁ明日は西武の
 ユニフォームでいきますね!
 私全球団のユニフォーム持ってるんで!!」

2人は西武の話で盛り上がっている・・・

うん・・・もう無理だな・・・

くそぉ・・・
初デートになるはずだったのに・・・。


K‐POP熱

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バイトの女子大生アンナは、
K‐POPが大好き。
好きすぎて韓国にも月1以上のペースで
ライブに行くらしく、
韓国語も日常会話かそれ以上
話せるくらい上達するほどで、
いっつもK‐POPアイドルの
話をしている。
休憩中も
K‐POP男性アイドルの
写真を見せてくる。

「かっこよくない?オンソンウ!!
 ぺらいちさんもK‐POP
 聞いた方がいいよ」
「オンソン?誰それ?
 いや~正直、
 K‐POPはあんまだな・・・」

「え~~~?なんでぇ~?
 めちゃめちゃカッコいいですよ」
「そうかなぁ?どこがいいの?
 日本人の方がいいじゃん」

 

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俺はその時、全然K‐POPの良さが
分からなかったので、
アンナのK‐POP熱も
冷めた目で見ていた。

しかし、俺も最近ひょんなことから
『TWICE』という
ガールズグループの歌を聞いて、
ドハマり。
韓国人、台湾人、日本人で
構成されたグループで、
ルックス、歌、踊り、全てカワイイ。
毎日のように、『TWICE』の曲を
繰り返し聞く。
K‐POPを聞く人の気持ちが
やっとわかった気がする。

 

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ある時、休憩中に
アンナがいたので、
俺はノリノリで話しかける。

「アンナ!最近おれ
 K‐POP聞いてるよ!」

「へ~・・・」

あれ?・・・なんか反応が薄い・・・

「TWICE良いよね!
 ツウィがかわいすぎ!」
「あ~~・・・
 TWICEはあんまり好きじゃないです」

え?マジで?

「それに、なんかK‐POPも、
 もういいかなって」
「え?ど、どうしたアンナ」
「アイドルとかは、もう・・・」
「え・・・」

アンナはおもむろに
スマホの写真を見せる。

「友達が彼氏できたの見てたら、

 やっぱ、リアルの方が
 いいなって・・・」

「なるほど、ね~・・・」

それから、
俺の『TWICE』熱も
急激に冷めていった。


「なにしてるんですか?」

 

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「ちょっとオノくん、来てくれる?」

先日、朝に出勤してすぐに
店長に呼ばれた。
その横にはオレンジ色の髪をした
男の子が。
いかにもチャラそうだ。

「この子、今日から働くタクマくん」
「うぃ~す。おねしゃーす」

でも中々端正な顔立ちをしてて
坂口健太郎にちょっと似てると言えなくもない。

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「ちょっとさぁ、新しい制服が、
 女子更衣室に届いてると思うから、

 着方とか教えてあげてくんない?」
「え?いいですけど、
 なんで女子更衣室に?」

「新しいのは全部あっちに届くんだよ」
「へぇ~そうなんですか。
 じゃぁ、行こうか」

俺はタクマを連れて
女子更衣室へ向かう。
でも女子更衣室か・・・
入ったことないし、
ちょっと気が引けるな。

コンコン。

部屋の中には誰もいないようだ。
うわぁ~
扉を開けた瞬間、
男子更衣室では嗅いだことのない
フローラルな香りが漂ってくる。
四畳半ほどの広さの更衣室に
2人で入る。
しかし、男用の制服らしきものが
見当たらない。
業者が置いていったなら、
いつもすぐ分かるところに
置いてあるんだけど。

「う~ん、ないなぁ~」
「店長呼んできますか~?」
「うん、たのむわ~ごめんね~」
「うぃっす」

ありゃ。チャラそうに見えて、
意外と気が利くじゃん。
俺は一人で制服を探し続ける。
それにしても香りがすごい。
男子の汗臭い部屋とは大違いだ。

でも制服らしいものないぞ・・・
あ、まさかロッカーに
入ってるのかな。
でも一応女子ロッカーだしな・・・

コンコン。

お、戻ってきた。

「はいよー。店長何て言って・・」

笑顔で振り向くと、女子大生のトモコが
目を丸くして立っている。
丁度出勤してきたらしい。

「な、なにしてるんですか?」

俺は女子ロッカーの扉に
手をかけてしまっている。

 

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「い、いや、ちがうちがう!
 制服探してたんだって」


慌てて手を引っ込め、
説明しようとトモコの方に
手を伸ばすと、
トモコはびっくりして
スッと俺の手を避ける。

「え?制服?
 誰の制服・・・ですか?」

汚いものでも見るような目で俺を見るトモコ。

「いや、いやいやいや、
 そうじゃなくてね・・・」


慌てれば慌てるほど怪しまれていく・・・。

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その場はなんとかトモコの誤解を解いたものの、
その後しばらく、女子バイトの間で
この事が延々と語り継がれることになった。

自慢合戦

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「ユイちゃん、まじかわいい」

演劇フリーターのヒロセは、
舞台で知り合った年下彼女を自慢してくる。
よっぽど自慢の彼女なのか、
以前、店にもわざわざ連れてきて、
見せびらかせられた。
今日も嬉しそうに
彼女の写メを見せてくる。

こいつ・・・
なんでこんなカワイイ彼女
ゲットしてんだよ。

すると、そこへ先週異動してきた、
25歳の若い社員ショータが
話に入ってくる。

「俺の彼女も見ます?」

ショータは見た目は、
とび抜けたイケメンではないのに、
話がうまく、面白いため、
どんな女子にもウケるタイプで、
案の定、店にもすぐに溶け込んだ。
そんなショータの彼女の写メを
見てみると、これまたカワイイ。
韓国人らしく、KPOPの
アイドルグループにいそうな
モデル体型だ。

「ほえ~、かわえ~ね~」

もう、みんな
彼女の自慢ばっかでイヤだ・・・。
くそぉ、俺もカワイイ彼女欲しい・・・

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俺は休憩所で一人ため息をつく。
すると店長が隣に座ってくる。

「あ~マジ離婚して~」

店長がいつものように奥さんの愚痴をこぼし始める。

「もうね、一人の方が絶対いいよ、オノちゃん」
「うん、そうですよね。俺もそう思います」

そうそう、どんだけ可愛い彼女を見つけて、
万が一結婚したとしても、みんな結局こうなるんだよ・・・
みんなの自慢を聞き飽きた俺は、
いつもより、店長の愚痴を親身になって聞く。

「でもさ、オノちゃ~ん、これ見てよ」

店長のスマホをのぞくと、
幼稚園くらいの小さい女の子の写真だ。

「かわいいでしょ?」

店長は写真を次々にスクロールしていく。

「もーさぁ!カワイ過ぎない?ウチの娘。
 俺の生きがい。この子いないとホント離婚してる」
「あ~、なるほど・・・」

こいつもかよ・・・

「ほら!これも。あ、これなんかヤバイ」

もうお腹いっぱいです・・・

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