ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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ショッピングのお誘い

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うあああああ。
もうダメかもしれない。
タクマ、イケメンだしなぁ。
やっぱイケメンの方がいいよなぁ、
若いし・・・。

っていうかありえん!
くそーーータクマめ、
裏切りだろ、これ!!!

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そう最初は怒りに震えた俺も、
なんだかタクマの全く
悪気ない感じのせいか、
裏切られた怒りというよりも、
気分だけが落ちていっていた。
・・・あいつも純粋に
好きになったんだろうしな。
まぁアンナは誰のものでもないし・・・。
でも、このどうしようもない思い、
どこにぶつけたらいいんだ・・・。

・・・いや!!

まだタクマが選ばれたわけじゃないっ!
俺が躊躇してる内に、
あいつに猛アタックをかけられたら
それこそヤバイ。絶体絶命。
ダメでもともと。
今日はタクマもいないし、先手必勝じゃ!!

幸いなことに、数日前、
『今度、私が服を選んであげますよ』
そう、アンナは言ってくれた。

このチャンスを逃さない手はない。

「おはようございまーす」

アンナがきた・・・。
今日は、紺色のカーディガンに
チェックのスカートか・・・。
相変わらずオシャレ。

「あ、おはようございまーす」

うつむきながら帽子のツバを持ちながら
こちらに挨拶する姿が
これまたカワイイ・・・

「おっすーー。今日もオシャレだね」

「あ、ありがとうございますー」

アンナはヒョコッとお辞儀をして
通り過ぎていく。

・・・そりゃあそうか。
アンナから
『そういえば・・・』
なんてこと、
切り出してくれるはずはない。
少し期待したけど・・・。

それからも、当然、アンナからは
何も言ってこない・・・。
なんとか気づいてくれないかなぁ・・・

いやいや!!何を待ってんだ俺は。

かといって、なんか
改まって誘うのって、
なんか言いづらいんだよなぁ・・・

「今日のスカートどこで買ったん?」

「え~?代官山だったかなぁ」

「へぇ~・・・」

・・・続かない。
それからもファッションに
関連する言葉を言ってみるが、
一向に反応は変わらない。

くそっ、こんなことなら、
その場ですぐ予定聞いて、
約束しとけば良かった・・・

でも、やっぱりアンナも
半ば冗談というか、
話の流れで『服を選んであげる』
なんて言っただけかも・・・。
うわー、色んな
ネガティブ思考が頭をめぐる・・・

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そうだ!!
LINEを使おう!!

『あのさぁ、この前、服、
 選んでくれるって言ったよね?』

いや・・・キモい。キモ過ぎる。

誘うなら、シフトが
被っている今日しかない!!

「オレ、どんな服が似合うと思う~?」

「ふく?」

「いや、『ふ・く』!!
 ん?『ふ・く』??」

「なにそれ!!アハハ!!
 イントネーション違いますよ。
 『ふ・く』!!!」

「アハハ!あ~そうかぁ!」

いや!!そこじゃねぇっ!!
確かに、広島弁
イントネーションで「服」は、
『ふ』にアクセントがつく『ふく』だけど。

俺が言いたいのは、そんなことじゃない・・・

俺はユニフォームの胸の部分を
引っ張りながら叫ぶ。

「『ふ・く』!!!」


俺の引っ張っている服を
じっと見つめるアンナ。

あ、もしかして・・・
そうそう!
通じてくれ・・・!!

「・・・あー!そうだ!
 服買いに行きましょうよ!」

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好きだ――――!!!!
俺はあまりの嬉しさに、
そう叫びそうになった。