ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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博才がない

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バイトに向かう途中、
駅前の宝くじ売り場の
スピーカーから音が聞こえる。

「今ならキャリーオーバー3億円!!!」

はぁ・・3億円もいらないから、
10万円でもいいから当たらないかな・・・
買いもしないのに、
そんな想像をする。

・・・いやいや、ムリムリ。

そんな甘い考えでどんだけ
お金をドブに捨ててきたか。
パチンコ、競馬、麻雀。
ギャンブルと名のつくものには一通り、
手を出してきた。
しかし、どれも散々な結果。
負けが重なり生活費にまで手を出し、
ついには消費者金融
借金も繰り返した。
信用も無くし、友人も失い、
親も散々泣かせてきた・・・

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以前、地元に帰った時、
たまたま寄った占い師の
おばあちゃんにもこう言われた。

「あんたぁ、ギャンブルはする?
 博才ないからせんほうがええね。
 生まれつき博才がある人は、
 なにやっても勝てるけど、
 あんたぁにはない。損するだけよ」

そう、俺には博才はない。
真面目にコツコツ。
今日もバイト頑張るぞ!
更衣室で着替えていると、
大学生のトミーが話しかけてくる。

「ぺらいちさん、
 今週末の競馬買います?」

トミーは先月、
初めて買った馬券が当たって、
儲けたので調子づいてるらしい。

バカ。・・・それが落とし穴だよ。

俺もビギナーズラックで
調子に乗ったのが
地獄への始まりだった。

「お前も俺と同じ匂いするから
 絶対止めた方がいいって」

俺は一応年上として、トミーを諭す。

「いや、おれ絶対博才ありますわ。
 今回勝ったら何買おうかな~」

「いや、そんなおいしい話が
 転がってるわけないからさ」

「えー?マジで行かないんすか?
 買わないと当たるもんも
 当たらないスよ」

「ムリムリ。損するだけだって」

「でも2番人気以降のオッズが
 10倍っすよ。10倍!!!
 千円が一万円ですよ!」

「いやいや・・・」

「もしかしたら100円が
 100万円になるかも
 しれないんですよ!?」

「・・・」

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数10分後には
トミーと賭ける馬を
真剣に選んでいる俺がいた。