ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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走り回る2人

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バイトの演劇フリーター、ヒロセ。
俳優を目指して
舞台活動をしている25歳。

ヒロセは、バイト中、
発声練習をしているのかと思うほど、
声がでかく、
(実際、発声練習の
 意味もあるらしい・・・)
無駄にテンションが高い。

さらに、ヒロセは
ホール担当なのだが、
キッチンのバイトに
ちょくちょくチョッカイを出しては、
キャッキャッと子供のように喜ぶ。

そのヒロセの得意技が、
キッチンで調理しているバイトに
背後から近づき、
ズボンの上からお尻に、
消毒用のアルコールスプレーを
大量にかけるというもの。

これをやられた相手は、
お尻がとてつもなく冷たく、
大量のアルコールは中々蒸発しないため、
長時間、お尻が極寒にさらされる。

ただでさえ、うちの店のキッチン内は、
換気のため外気を直接いれており、
この季節は凍えているのに・・・

シュッシュッシュッ

その日は、俺がヒロセの餌食に・・・。
お尻に冷たさを感じたときには
もう遅い。
後ろには、ニヤッと笑うヒロセが。

しかし、俺も負けじと
アルコールスプレーを手に取り、
応戦する。

「このヤロ!ちょっと待ていっ!!」

キャッキャッとキッチン内を
逃げ回るヒロセ。
俺も必死で追いかける。

その様子を見ていた大学生トミーが
苦笑いで一言。

「オッサン2人でなにしてんすか・・・」

なるほど、大学生のトミーから見れば、
30歳オーバーの俺はもちろん、
25歳のヒロセまでも
もう立派なオッサンなんだよな・・・

2人のオッサンは、
静かにアルコールスプレーを置いた。


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バリバリ働くけぇ!

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「ワシ、別れました!」

どうやらマルオは、2か月、付き合っていた彼女と
数日前に別れたらしい。
しかし、マルオからは全くと言っていいほど、
悲壮感というものは感じられない。

「よーし!!今日も稼がんにゃ~~!」

それどころかいつもより元気に働いている・・・。

「え?!じゃぁ結局童貞のままやんな?」

「それは、はい」

「うわ~最悪やん!!
 もうすぐ妖精になるんちゃう?ハハハ」

演劇フリーターのヒロセが面白がって
からかっても、全然おかまいなしだ。

「いや、実はもう次見つけたんよ~」

そういうことか。それにしても
切り替えが早いと言うか・・・。

「え?誰?誰なん?」

「地元の子なんじゃけど。
 高校の時、付き合っとって。

 そん時は、なんか浮気したと
 勘違いされてしもうて、

 フラたんですよ。
 でもずっと好きだったんよ~」

「へ~彼氏おらへんの?」

「それが!!
 別れたっぽいんですわ!

 facebookチェックしとったんで!
 今まで写っとった男の写真が
 全部消されとったんです!

 昨日も電話かかってきて・・・」

「え?どんな話したん?」

「それが!
 東京においでって言ったんですよ!

 そしたらお金ないって。
 んで新幹線代出すって言ったら、
 すげー喜んどったんですよ!」

「まぁ、そりゃぁ、喜ぶやろうな・・・」

「あ~はよ、アイちゃんから
 連絡来んかのぉ。

 LINE待つだけでワクワクするわぁ~!
 毎日がこんなに楽しいなんて
 夢のようじゃ~!!!」

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 う~ん・・・正直なんか微妙な気がするけど・・・

その日からは、マルオの話は、
アイちゃん一色。

「昨日の夜も電話したんよ~」

「へぇ~」

「アイちゃん、なんか靴が欲しいって。
 じゃけぇ、やっぱり
 アイちゃんのために稼がんと!」

「ふ~ん、誕生日か何かなん?」

「いや、全然!」

「え?ただ靴が欲しいって?」

「はい!!途中、なんか友達が
 起きたからって3分で切られたんじゃけど」

「あ~・・・」

うーん、やっぱりそれ・・・
っていうか100%
良いように利用されてるよね・・・

「あ!というわけじゃけ、
 ワシ今月、バリバリ働きますけぇ!」

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でも、やはり恋の力はすごい・・・。

俺もバリバリ働こうか・・・。



ショッピングのお誘い

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うあああああ。
もうダメかもしれない。
タクマ、イケメンだしなぁ。
やっぱイケメンの方がいいよなぁ、
若いし・・・。

っていうかありえん!
くそーーータクマめ、
裏切りだろ、これ!!!

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そう最初は怒りに震えた俺も、
なんだかタクマの全く
悪気ない感じのせいか、
裏切られた怒りというよりも、
気分だけが落ちていっていた。
・・・あいつも純粋に
好きになったんだろうしな。
まぁアンナは誰のものでもないし・・・。
でも、このどうしようもない思い、
どこにぶつけたらいいんだ・・・。

・・・いや!!

まだタクマが選ばれたわけじゃないっ!
俺が躊躇してる内に、
あいつに猛アタックをかけられたら
それこそヤバイ。絶体絶命。
ダメでもともと。
今日はタクマもいないし、先手必勝じゃ!!

幸いなことに、数日前、
『今度、私が服を選んであげますよ』
そう、アンナは言ってくれた。

このチャンスを逃さない手はない。

「おはようございまーす」

アンナがきた・・・。
今日は、紺色のカーディガンに
チェックのスカートか・・・。
相変わらずオシャレ。

「あ、おはようございまーす」

うつむきながら帽子のツバを持ちながら
こちらに挨拶する姿が
これまたカワイイ・・・

「おっすーー。今日もオシャレだね」

「あ、ありがとうございますー」

アンナはヒョコッとお辞儀をして
通り過ぎていく。

・・・そりゃあそうか。
アンナから
『そういえば・・・』
なんてこと、
切り出してくれるはずはない。
少し期待したけど・・・。

それからも、当然、アンナからは
何も言ってこない・・・。
なんとか気づいてくれないかなぁ・・・

いやいや!!何を待ってんだ俺は。

かといって、なんか
改まって誘うのって、
なんか言いづらいんだよなぁ・・・

「今日のスカートどこで買ったん?」

「え~?代官山だったかなぁ」

「へぇ~・・・」

・・・続かない。
それからもファッションに
関連する言葉を言ってみるが、
一向に反応は変わらない。

くそっ、こんなことなら、
その場ですぐ予定聞いて、
約束しとけば良かった・・・

でも、やっぱりアンナも
半ば冗談というか、
話の流れで『服を選んであげる』
なんて言っただけかも・・・。
うわー、色んな
ネガティブ思考が頭をめぐる・・・

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そうだ!!
LINEを使おう!!

『あのさぁ、この前、服、
 選んでくれるって言ったよね?』

いや・・・キモい。キモ過ぎる。

誘うなら、シフトが
被っている今日しかない!!

「オレ、どんな服が似合うと思う~?」

「ふく?」

「いや、『ふ・く』!!
 ん?『ふ・く』??」

「なにそれ!!アハハ!!
 イントネーション違いますよ。
 『ふ・く』!!!」

「アハハ!あ~そうかぁ!」

いや!!そこじゃねぇっ!!
確かに、広島弁
イントネーションで「服」は、
『ふ』にアクセントがつく『ふく』だけど。

俺が言いたいのは、そんなことじゃない・・・

俺はユニフォームの胸の部分を
引っ張りながら叫ぶ。

「『ふ・く』!!!」


俺の引っ張っている服を
じっと見つめるアンナ。

あ、もしかして・・・
そうそう!
通じてくれ・・・!!

「・・・あー!そうだ!
 服買いに行きましょうよ!」

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好きだ――――!!!!
俺はあまりの嬉しさに、
そう叫びそうになった。



ライバル宣言

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最近、タクマの様子がどうもおかしい。
この前、行ったカラオケくらい
からだろうか・・・。
もしかして、タクマは
アンナのことが
好きなんじゃないだろうか。
俺の恋の相談に乗るフリをして・・・
もしそうだとしたら・・・
俺はそのことを考えると
夜も眠れなくなった。
最近は朝方までずっと一人で
悶々としていて寝不足が続いている。

「タクマ、ちょっといい?」
「んあ?」

バイトの休憩中、俺は思い切って、
ゴミ捨て場がある裏口に
タクマを呼び出した。

「どうしたんスか?急に」

「おまえさぁ・・・
 アンナのことどう思ってる?」

「え・・・?どういうことスか?」

タクマは笑っているが、
明らかに動揺しているように見える。
どんな時も飄々としている
タクマらしくない。
 
「いや、おまえもアンナのこと
好きなんじゃないかなぁ、って。」

「・・・」

タクマは黙っている。
やっぱりそうなのか・・・
今まで俺の恋を応援してくれてると
思っていたけど、タクマも
アンナのことが好きなら
話は違ってくる。
ここはタクマの気持ちをハッキリ
聞いとかなきゃいけない。

でも聞きたくないなぁ・・・。

俺はわざとごまかしたように笑う。

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「なんだよ~!好きなら好きで
 いいんだからさ~。
 ハッキリ言えばいいじゃん!」

するとしばらく黙っていたタクマが
口を開く。

「まぁ・・・ちょっと・・・」

「え?ちょっと?」

「ちょっと好きっぽい」

「おい!ハッキリしろよ!」

「いや・・・最初は俺も自分が
 信じられなかったんですけど、
 万一にでもアンナが
 ぺらいっちにとられると思うと
 嫌なんス」

「は?」

「正直、俺も、まだ好きなのか
 分からないんス。

 でもぺらいっちにはとられたくない。
 それは確かです。」

「なんだよそれ・・・」

タクマの表情は至って真剣だ・・・。

「恋は競争相手がいるほど
 燃えるって言いますしね。
 ライバル作戦ってことで。
 ぺらいっちも俺もライバルができて、
 ウィンウィンじゃないスか?」

タクマは、今までの恋愛の経験から、
恋のライバルがいる時と、
いない時では、成功率が
全然違うということを力説している。

でも俺の耳には全然入ってこない。

なんだよ・・・
協力者だと思ってたのに・・・
なにが恋愛マスターだよ!!!

「じゃぁ、そういうことで!」

そう言って、タクマは足早に去っていった。


ブチギレの代償

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疲れた・・・


今日は、忙しかった・・・
夜の激しいピークを終え、
一瞬お客さんが引いていくと、
大学生たちが
ダベりながら作業を始めた。


「就職したくねぇ~」

そうボヤくのは3年生のカサハラ。
それに2年のトミー、1年のマルオも加わる。

「あ~ダるいっすよね~。
 俺も来年就活すんのかぁ」

「ワシは大学院に
 行くから就活はええんじゃ~」

「大学院っても、そのあと就活するっしょ」

そうこうしている内に、
お客さんが徐々に入ってきて、
お店はいつの間にか満席になり、
オーダーが大量にたまり始めた。

しかし、大学生たちは
就活の話で盛り上がり、
手は全く動いていない。

「おれ、ここに就職しようかなぁ~」

「いや、ないでしょ、さすがに」

「でも飲食の中じゃ結構よくね?」

「いや、限りなくブラックじゃないですか」

「ははは」

こいつら・・・
いつもなら笑って軽く促す程度だが、
その日は疲れがピークに達していて、
俺のイライラはついに爆発してしまった。

「おい!!!おまえの就職なんて
 どうでもいいんだよ!
 オーダー溜まってんだろ!

 黙って仕事しろ!ボケ!!」

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珍しく声を荒げた俺に驚いたのか、
一瞬空気が凍り付き、
その後、みんな黙って仕事をし始めた。


そして次の日、
大学生たちから
話を聞いた店長が話しかけてくる。

「昨日なんかあいつらに怒ったらしいね」

「あぁ、はい」

「就職の話したらキレたんだって?」

「え?」

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おいおいおい。
なんか就職にコンプレックスを
抱いている俺が
「就職」というキーワードに
ブチぎれたみたいになってる。

そんなつもりじゃなかったのに・・・。





カラオケ作戦

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「どーすか、アンナとは」
「いや、ぜんぜん進展なし。」
今日は専属恋愛アドバイザーの
タクマとカラオケで作戦会議だ。

俺は、アンナとはまだ
デートらしいデートもできていないので、
自称恋愛マスターに何か有効な作戦がないか
相談も兼ねてタクマに電話した。

最初は、スットンキョーな
アドバイスばかりで、
あんまり信用ならない奴だと思ったけど、
数回、遊んでみると意外とイイ奴だった。

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何より恋愛において相談相手がいるのはありがたい。

「昔から好きになった子を目の前にすると、
 緊張して話せないんだよね・・・」

「ふ~ん。じゃぁ、今からここに呼びますか」

「えっ、誰を?」

「いや、アンナ以外誰がいるんすか?」

はぁぁ?人の話聞いてた?
目の前にすると話せないんだって。
焦る俺をよそに、タクマは
すぐさまスマホを開き、アンナに連絡し始める。

「あ、アンナ?今ヒマ?」

なんて強引なんだ・・・
でも・・・もしかすると、
俺のこの難しい恋愛を成就させるには、
タクマのような強引さが
打開の糸口なのかもしれない。

30分もすると、アンナが到着。

「へ~二人って仲良かったんだ?」

「まぁね~、ぺらいッちが俺に
 相談があるって言ってきて~」

「え?何の相談?」

おい!こいつ!
俺はタクマの腕を小突くが
タクマは知らん顔している。

「まぁ、いろいろね」

でもやはり目の前にすると
中々面白い話ができない・・・。
何を話せばいいのだろう・・・
俺は居てもたってもいられなくなり、
マイクを取る。

実は一人カラオケをするくらい
歌うのは好きだったりする。

ん?・・・そうか・・・

なるほど、分かったぞ、タクマ!
カラオケなら話下手な俺でも歌うことで、
うまくまぎれ、気まずくなることがない!
そのうち、打ち解け合って
楽しい時間を過ごすことができるということか!
だからここにアンナを誘ったのか!
そういうことなら・・・よし!


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こういう時の選曲は、
自分の好きなマイナーな曲は封印し、
今流行りのメジャーな曲を歌えば間違いない。

とりあえず、DA PUMPの「U.S.A」と。
これなら結構盛り上がるし、イケるはずだ。

イントロが流れると、
二人も頭を揺らしながら
軽くリズムをとり始める。
よしよし。もうそろそろサビだ。
このサビがちょっと高音なんだよなぁ。
俺はサビ前部分を歌いながら、
チラッと横目で聞いている二人を見る。
ん?!!!

「あははは!でしょー?」

なにやらタクマがアンナに話しかけている。
アンナも笑いをこらえきれずに口を押えて
笑っている。
会話の内容はよく聞こえないが、
なんだかとても盛り上がっている。

えーーー!?ぜんっぜん聞いてねぇっ!!!

しかし、途中で演奏中止するわけにもいかず、
俺はなんとか歌い続ける。

その間、二人の会話は大盛り上がり。

「そうそう!」

結局、俺は二人の様子が気になりながらも、
最後まで歌いきった。
すると、二人は
全然聞いていなかったにも関わらず、
いきなりこちらを向くと拍手を始めた。

パチパチパチパチ!

「うぇーーーい!!最高っ!!」

おまえら・・・全然聞いてなかっただろっ。

でも次はタクマに歌わせて
俺がアンナと盛り上がる番だ!
すると、なぜだか入れていない
次の曲のイントロが流れはじめる。

「次、入れときました!!
 これスゲー聞きたいっす!!」

おい・・・絶対聞く気ないだろ!
そして案の定、俺が歌っている中、
二人はまた話し始める。

俺の歌声は完全にBGMと化していた・・・。

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ファッションセンスがねぇ!

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「おはようございます~」
「あ、おはよう~」

ほうほう。

最近の俺の楽しみと言えば、
さりげなく出勤するときの
アンナの私服をチェックすることだ。
さすが、ファッションの専門学校に
通っているだけあって、
いつもオシャレだ。
今日もショートの
デニムスカート(って言うの?)
がキマッてる・・・

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「お、さすが変態っスね~」


タクマだ。
いまや俺の恋を応援してくれている
イケメン恋愛アドバイザー。

「いや、ファッションチェック
 してただけだし!」

「ぺらいっちは、基本ダっサいスよね~
 ヨレヨレのシャツばっか着てるし」

え?てか俺って、
そんな風に思われてたの?
ちょっとショック・・・。

「う、うるさいな。
 俺は飾らないところがいいとこなの!」

「そんなんだと、アンナにも
 嫌われちゃいますよ?」

たたしかに・・・
俺なんていつも上下、GUの安いやつ。
しかも基本、気に入った服を
連続で着続けるので、
すぐヨレヨレになる。
服にお金をかけるほど
余裕がないというのもあるが、
昔から、ファッションに
全くと言っていいほど
興味がなかった・・・。

だが、そうも言っては
いられないかもしれん。

アンナはファッションの専門学生。
ヨレヨレのシャツなんか
着ているやつと一緒に歩きたくは
ないはずだ・・・

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そして俺は久しぶりに、
ちょっと高めの服を買った。
シャツ一枚だけど。

ワンポイントで、胸に英語と
キャラクターのロゴが
描いてあるシンプルなロングTシャツ。
うん。ただのシャツといっても、
やっぱり新しいのは気分も上がる。
今日はこれでバイトに行こう。

「え?どうしたんすかその服?」
「買ったんすか?」
「まぁね」

ふぅ・・・
心なしかみんなの俺を見る目も
いつもと違う気がする。
うん。アンナにも見てもらおう。

「えーー?なんて書いてあるのこの英語?
 ダッサーw」

あれ・・・・・

「しかもなに、
 このおそ松くんみたいなキャラw」

めっちゃ、恥ずい。
センスのない俺には
所詮無理だった・・・

「今度、私が選んであげますよ」

「え??!!ホントに?」

俺・・・センスなくて良かったかも。

 



童貞

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最近は、草食男子とか絶食男子とか
言われているけど・・・
バイト先の大学生にも、
どうも童貞が多い気がする。
その筆頭が、まぁ、トミー。

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彼女がいると思ったら、2次元だし。
この前、3次元の女の子に、
アタックするも、あえなくフラれ、
2次元の世界に戻っていった・・・

そして、広島出身の1年生マルオ。

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同じ夜間の学生と付き合って
もう2か月くらいになるのに、
どうもまだらしい。

「マルオ彼女おるんでしょ」

「おりますよ」

「ヤッたん?」

「いや・・・」

「まじで?!おまえのぉ、
 もう付き合って2か月なんじゃろ?
 で、キスぐらいはしたん?」

「はい、めちゃめちゃ
 緊張しながらじゃけど・・・」

「いや、キスしたらもう
 ヤルしかないっしょ?」

「それがなかなかそうは
 いかんのですよ・・・」

「え?!なんでそこで止められんの?
 俺がおまえらくらいの年のころには、
 会ったらすぐヤッてたよ」

「えーーー!今まで
 何人くらいとヤッたんすか?」

「え~~??そんなの、覚えてないよ」

「へぇ~!やっぱぺらいちさん、すごいのぉ!」

・・・と、さも経験豊富ぶった俺はといえば、
実は、経験人数も
それほど多くはないし、
あっちの方もかれこれ
4、5年くらいご無沙汰だ・・・

しかし、童貞に対しては強気になれる・・・

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ぺらいちさんのおかげ

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バイト先で大学生たちが話している。

「やっぱり最初に教わる人って大事よね~」

「マルオ、おまえ誰だった?」

「いや~ワシ、ここでのこと、
 ほとんど全部ぺらいちさんに
 教えてもろうたようなもんよ。
 ホント、今のワシがあるのは、
 ぺらいちさんのおかげじゃわ」

 

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マルオ、嬉しいこと言ってくれるな~
確かに同じ広島出身ということで、
特別扱いしたのは間違いない。
マルオとは、ほとんど
同時期に働き始めたのだが、
俺は他の飲食店でも経験があったので、
マルオの教育係として、
皿の洗い方から、料理の作り方、
時には仕事の心構えみたいなものまで、
偉そうに教えていった。
時には厳しく言うこともあったのに、
マルオは人懐っこく、
素直に言われたことを
どんどん吸収していった。
客観的に見ても、1年生の中では
とびぬけて仕事ができるようになった。
今では店長からも重宝がられていて、
教えた自分としては、ちょっと鼻が高い。

しかし、今日、
そのマルオが来ていない。
シフトには入っているのに。
出勤時間からもう15分ほど経っている。

それから30分後、

「すいませんっ!遅うなりましたっ!」

マルオが息を切らして
小走りで店に入ってくる。
そこで店長がすかさず、
マルオに声をかける。

「おいおい、マルオまた遅刻か~!!?」

「はい!ぺらいちさんに教わりました!」


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確かに・・・俺も遅刻常習犯だけど・・・
そこは見習わなくていい!

 

両思いでした

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秋田出身の大学2年生トミー。
彼女がいると豪語していたが、
実は2次元の彼女だったことが発覚。

しかし、そのトミーが
彼女ができたと浮かれている。

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「いや、どうせまた2次元だろ・・・?」

「いや!違いますって!
 ちゃんと告白したんですって!」

相手は、バイトの新人の女の子で、
猛アタックし、告白したらしい。

「で、結果は?」

「OKでした。両想いでした」

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トミーは嬉しそうに即答する。
しかし、詳細を聞いてみると、
どうやらまだ正式に
付き合ったわけではなく、
2回ほど遊んで、
『次はディズニーに行きたい』と
伝えたところ、
『いいよ』と返ってきただけらしく、
それをトミーは告白成功だと
思い込んでいるようだった。


おいおい、
ディズニーがOKなら付き合えるって、
それ・・・
この32のオジサンと同じ考えだぞ・・・
まぁ、本人がこれだけ確信してるんだから
OKなのかもしれない。

「俺も2次元卒業しますわー!!
 リア充っすよ!リア充!!」

あ~浮かれてやがら~・・・

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しかし、後日、
その新人の女の子がいたので、
それとなく聞いてみると、
何の話かわからない感じで
ポカンとしている・・・

トミーにも聞いてみると案の定、
両想いというのは
勘違いだったようで、
うなだれている・・・

「やっぱ、二次元の方が
 いいっすわーー!!」

おいおい・・・