ぺらいち君のイマイチ人生

~東京ドームから徒歩5分~

ぺらいち君のイマイチ人生~東京ドームから徒歩5分~

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ライバル宣言

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最近、タクマの様子がどうもおかしい。
この前、行ったカラオケくらい
からだろうか・・・。
もしかして、タクマは
アンナのことが
好きなんじゃないだろうか。
俺の恋の相談に乗るフリをして・・・
もしそうだとしたら・・・
俺はそのことを考えると
夜も眠れなくなった。
最近は朝方までずっと一人で
悶々としていて寝不足が続いている。

「タクマ、ちょっといい?」
「んあ?」

バイトの休憩中、俺は思い切って、
ゴミ捨て場がある裏口に
タクマを呼び出した。

「どうしたんスか?急に」

「おまえさぁ・・・
 アンナのことどう思ってる?」

「え・・・?どういうことスか?」

タクマは笑っているが、
明らかに動揺しているように見える。
どんな時も飄々としている
タクマらしくない。
 
「いや、おまえもアンナのこと
好きなんじゃないかなぁ、って。」

「・・・」

タクマは黙っている。
やっぱりそうなのか・・・
今まで俺の恋を応援してくれてると
思っていたけど、タクマも
アンナのことが好きなら
話は違ってくる。
ここはタクマの気持ちをハッキリ
聞いとかなきゃいけない。

でも聞きたくないなぁ・・・。

俺はわざとごまかしたように笑う。

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「なんだよ~!好きなら好きで
 いいんだからさ~。
 ハッキリ言えばいいじゃん!」

するとしばらく黙っていたタクマが
口を開く。

「まぁ・・・ちょっと・・・」

「え?ちょっと?」

「ちょっと好きっぽい」

「おい!ハッキリしろよ!」

「いや・・・最初は俺も自分が
 信じられなかったんですけど、
 万一にでもアンナが
 ぺらいっちにとられると思うと
 嫌なんス」

「は?」

「正直、俺も、まだ好きなのか
 分からないんス。

 でもぺらいっちにはとられたくない。
 それは確かです。」

「なんだよそれ・・・」

タクマの表情は至って真剣だ・・・。

「恋は競争相手がいるほど
 燃えるって言いますしね。
 ライバル作戦ってことで。
 ぺらいっちも俺もライバルができて、
 ウィンウィンじゃないスか?」

タクマは、今までの恋愛の経験から、
恋のライバルがいる時と、
いない時では、成功率が
全然違うということを力説している。

でも俺の耳には全然入ってこない。

なんだよ・・・
協力者だと思ってたのに・・・
なにが恋愛マスターだよ!!!

「じゃぁ、そういうことで!」

そう言って、タクマは足早に去っていった。


ブチギレの代償

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疲れた・・・


今日は、忙しかった・・・
夜の激しいピークを終え、
一瞬お客さんが引いていくと、
大学生たちが
ダベりながら作業を始めた。


「就職したくねぇ~」

そうボヤくのは3年生のカサハラ。
それに2年のトミー、1年のマルオも加わる。

「あ~ダるいっすよね~。
 俺も来年就活すんのかぁ」

「ワシは大学院に
 行くから就活はええんじゃ~」

「大学院っても、そのあと就活するっしょ」

そうこうしている内に、
お客さんが徐々に入ってきて、
お店はいつの間にか満席になり、
オーダーが大量にたまり始めた。

しかし、大学生たちは
就活の話で盛り上がり、
手は全く動いていない。

「おれ、ここに就職しようかなぁ~」

「いや、ないでしょ、さすがに」

「でも飲食の中じゃ結構よくね?」

「いや、限りなくブラックじゃないですか」

「ははは」

こいつら・・・
いつもなら笑って軽く促す程度だが、
その日は疲れがピークに達していて、
俺のイライラはついに爆発してしまった。

「おい!!!おまえの就職なんて
 どうでもいいんだよ!
 オーダー溜まってんだろ!

 黙って仕事しろ!ボケ!!」

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珍しく声を荒げた俺に驚いたのか、
一瞬空気が凍り付き、
その後、みんな黙って仕事をし始めた。


そして次の日、
大学生たちから
話を聞いた店長が話しかけてくる。

「昨日なんかあいつらに怒ったらしいね」

「あぁ、はい」

「就職の話したらキレたんだって?」

「え?」

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おいおいおい。
なんか就職にコンプレックスを
抱いている俺が
「就職」というキーワードに
ブチぎれたみたいになってる。

そんなつもりじゃなかったのに・・・。





カラオケ作戦

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「どーすか、アンナとは」
「いや、ぜんぜん進展なし。」
今日は専属恋愛アドバイザーの
タクマとカラオケで作戦会議だ。

俺は、アンナとはまだ
デートらしいデートもできていないので、
自称恋愛マスターに何か有効な作戦がないか
相談も兼ねてタクマに電話した。

最初は、スットンキョーな
アドバイスばかりで、
あんまり信用ならない奴だと思ったけど、
数回、遊んでみると意外とイイ奴だった。

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何より恋愛において相談相手がいるのはありがたい。

「昔から好きになった子を目の前にすると、
 緊張して話せないんだよね・・・」

「ふ~ん。じゃぁ、今からここに呼びますか」

「えっ、誰を?」

「いや、アンナ以外誰がいるんすか?」

はぁぁ?人の話聞いてた?
目の前にすると話せないんだって。
焦る俺をよそに、タクマは
すぐさまスマホを開き、アンナに連絡し始める。

「あ、アンナ?今ヒマ?」

なんて強引なんだ・・・
でも・・・もしかすると、
俺のこの難しい恋愛を成就させるには、
タクマのような強引さが
打開の糸口なのかもしれない。

30分もすると、アンナが到着。

「へ~二人って仲良かったんだ?」

「まぁね~、ぺらいッちが俺に
 相談があるって言ってきて~」

「え?何の相談?」

おい!こいつ!
俺はタクマの腕を小突くが
タクマは知らん顔している。

「まぁ、いろいろね」

でもやはり目の前にすると
中々面白い話ができない・・・。
何を話せばいいのだろう・・・
俺は居てもたってもいられなくなり、
マイクを取る。

実は一人カラオケをするくらい
歌うのは好きだったりする。

ん?・・・そうか・・・

なるほど、分かったぞ、タクマ!
カラオケなら話下手な俺でも歌うことで、
うまくまぎれ、気まずくなることがない!
そのうち、打ち解け合って
楽しい時間を過ごすことができるということか!
だからここにアンナを誘ったのか!
そういうことなら・・・よし!


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こういう時の選曲は、
自分の好きなマイナーな曲は封印し、
今流行りのメジャーな曲を歌えば間違いない。

とりあえず、DA PUMPの「U.S.A」と。
これなら結構盛り上がるし、イケるはずだ。

イントロが流れると、
二人も頭を揺らしながら
軽くリズムをとり始める。
よしよし。もうそろそろサビだ。
このサビがちょっと高音なんだよなぁ。
俺はサビ前部分を歌いながら、
チラッと横目で聞いている二人を見る。
ん?!!!

「あははは!でしょー?」

なにやらタクマがアンナに話しかけている。
アンナも笑いをこらえきれずに口を押えて
笑っている。
会話の内容はよく聞こえないが、
なんだかとても盛り上がっている。

えーーー!?ぜんっぜん聞いてねぇっ!!!

しかし、途中で演奏中止するわけにもいかず、
俺はなんとか歌い続ける。

その間、二人の会話は大盛り上がり。

「そうそう!」

結局、俺は二人の様子が気になりながらも、
最後まで歌いきった。
すると、二人は
全然聞いていなかったにも関わらず、
いきなりこちらを向くと拍手を始めた。

パチパチパチパチ!

「うぇーーーい!!最高っ!!」

おまえら・・・全然聞いてなかっただろっ。

でも次はタクマに歌わせて
俺がアンナと盛り上がる番だ!
すると、なぜだか入れていない
次の曲のイントロが流れはじめる。

「次、入れときました!!
 これスゲー聞きたいっす!!」

おい・・・絶対聞く気ないだろ!
そして案の定、俺が歌っている中、
二人はまた話し始める。

俺の歌声は完全にBGMと化していた・・・。

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ファッションセンスがねぇ!

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「おはようございます~」
「あ、おはよう~」

ほうほう。

最近の俺の楽しみと言えば、
さりげなく出勤するときの
アンナの私服をチェックすることだ。
さすが、ファッションの専門学校に
通っているだけあって、
いつもオシャレだ。
今日もショートの
デニムスカート(って言うの?)
がキマッてる・・・

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「お、さすが変態っスね~」


タクマだ。
いまや俺の恋を応援してくれている
イケメン恋愛アドバイザー。

「いや、ファッションチェック
 してただけだし!」

「ぺらいっちは、基本ダっサいスよね~
 ヨレヨレのシャツばっか着てるし」

え?てか俺って、
そんな風に思われてたの?
ちょっとショック・・・。

「う、うるさいな。
 俺は飾らないところがいいとこなの!」

「そんなんだと、アンナにも
 嫌われちゃいますよ?」

たたしかに・・・
俺なんていつも上下、GUの安いやつ。
しかも基本、気に入った服を
連続で着続けるので、
すぐヨレヨレになる。
服にお金をかけるほど
余裕がないというのもあるが、
昔から、ファッションに
全くと言っていいほど
興味がなかった・・・。

だが、そうも言っては
いられないかもしれん。

アンナはファッションの専門学生。
ヨレヨレのシャツなんか
着ているやつと一緒に歩きたくは
ないはずだ・・・

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そして俺は久しぶりに、
ちょっと高めの服を買った。
シャツ一枚だけど。

ワンポイントで、胸に英語と
キャラクターのロゴが
描いてあるシンプルなロングTシャツ。
うん。ただのシャツといっても、
やっぱり新しいのは気分も上がる。
今日はこれでバイトに行こう。

「え?どうしたんすかその服?」
「買ったんすか?」
「まぁね」

ふぅ・・・
心なしかみんなの俺を見る目も
いつもと違う気がする。
うん。アンナにも見てもらおう。

「えーー?なんて書いてあるのこの英語?
 ダッサーw」

あれ・・・・・

「しかもなに、
 このおそ松くんみたいなキャラw」

めっちゃ、恥ずい。
センスのない俺には
所詮無理だった・・・

「今度、私が選んであげますよ」

「え??!!ホントに?」

俺・・・センスなくて良かったかも。

 



童貞

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最近は、草食男子とか絶食男子とか
言われているけど・・・
バイト先の大学生にも、
どうも童貞が多い気がする。
その筆頭が、まぁ、トミー。

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彼女がいると思ったら、2次元だし。
この前、3次元の女の子に、
アタックするも、あえなくフラれ、
2次元の世界に戻っていった・・・

そして、広島出身の1年生マルオ。

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同じ夜間の学生と付き合って
もう2か月くらいになるのに、
どうもまだらしい。

「マルオ彼女おるんでしょ」

「おりますよ」

「ヤッたん?」

「いや・・・」

「まじで?!おまえのぉ、
 もう付き合って2か月なんじゃろ?
 で、キスぐらいはしたん?」

「はい、めちゃめちゃ
 緊張しながらじゃけど・・・」

「いや、キスしたらもう
 ヤルしかないっしょ?」

「それがなかなかそうは
 いかんのですよ・・・」

「え?!なんでそこで止められんの?
 俺がおまえらくらいの年のころには、
 会ったらすぐヤッてたよ」

「えーーー!今まで
 何人くらいとヤッたんすか?」

「え~~??そんなの、覚えてないよ」

「へぇ~!やっぱぺらいちさん、すごいのぉ!」

・・・と、さも経験豊富ぶった俺はといえば、
実は、経験人数も
それほど多くはないし、
あっちの方もかれこれ
4、5年くらいご無沙汰だ・・・

しかし、童貞に対しては強気になれる・・・

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ぺらいちさんのおかげ

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バイト先で大学生たちが話している。

「やっぱり最初に教わる人って大事よね~」

「マルオ、おまえ誰だった?」

「いや~ワシ、ここでのこと、
 ほとんど全部ぺらいちさんに
 教えてもろうたようなもんよ。
 ホント、今のワシがあるのは、
 ぺらいちさんのおかげじゃわ」

 

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マルオ、嬉しいこと言ってくれるな~
確かに同じ広島出身ということで、
特別扱いしたのは間違いない。
マルオとは、ほとんど
同時期に働き始めたのだが、
俺は他の飲食店でも経験があったので、
マルオの教育係として、
皿の洗い方から、料理の作り方、
時には仕事の心構えみたいなものまで、
偉そうに教えていった。
時には厳しく言うこともあったのに、
マルオは人懐っこく、
素直に言われたことを
どんどん吸収していった。
客観的に見ても、1年生の中では
とびぬけて仕事ができるようになった。
今では店長からも重宝がられていて、
教えた自分としては、ちょっと鼻が高い。

しかし、今日、
そのマルオが来ていない。
シフトには入っているのに。
出勤時間からもう15分ほど経っている。

それから30分後、

「すいませんっ!遅うなりましたっ!」

マルオが息を切らして
小走りで店に入ってくる。
そこで店長がすかさず、
マルオに声をかける。

「おいおい、マルオまた遅刻か~!!?」

「はい!ぺらいちさんに教わりました!」


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確かに・・・俺も遅刻常習犯だけど・・・
そこは見習わなくていい!

 

両思いでした

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秋田出身の大学2年生トミー。
彼女がいると豪語していたが、
実は2次元の彼女だったことが発覚。

しかし、そのトミーが
彼女ができたと浮かれている。

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「いや、どうせまた2次元だろ・・・?」

「いや!違いますって!
 ちゃんと告白したんですって!」

相手は、バイトの新人の女の子で、
猛アタックし、告白したらしい。

「で、結果は?」

「OKでした。両想いでした」

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トミーは嬉しそうに即答する。
しかし、詳細を聞いてみると、
どうやらまだ正式に
付き合ったわけではなく、
2回ほど遊んで、
『次はディズニーに行きたい』と
伝えたところ、
『いいよ』と返ってきただけらしく、
それをトミーは告白成功だと
思い込んでいるようだった。


おいおい、
ディズニーがOKなら付き合えるって、
それ・・・
この32のオジサンと同じ考えだぞ・・・
まぁ、本人がこれだけ確信してるんだから
OKなのかもしれない。

「俺も2次元卒業しますわー!!
 リア充っすよ!リア充!!」

あ~浮かれてやがら~・・・

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しかし、後日、
その新人の女の子がいたので、
それとなく聞いてみると、
何の話かわからない感じで
ポカンとしている・・・

トミーにも聞いてみると案の定、
両想いというのは
勘違いだったようで、
うなだれている・・・

「やっぱ、二次元の方が
 いいっすわーー!!」

おいおい・・・


俺は変態じゃねぇっ!!!

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俺は変態なのだろうか?

例えば自分の好きなアイドルのライブに
行ったとする。
そこで運良く最前列に座れたとして、
アイドルの汗が飛び散ってきたら、
嬉しいものではないだろうか?
いや、自分の憧れの人だったら、
むしろ自分から浴びに行きたいくらいではないだろうか?
そのことをトミーに何気なく聞いてみる。

「・・・それはないっすね」

「え?」

そこからは完全に変態扱い。

「いや、それはマジ変態ですって!」

「はぁ?俺は変態じゃねー!!!」


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ウソだろ?なんでだ?
おれがおかしいのか?俺は変態なのか?
憧れの存在だったら、
汗でも何でもかかったら嬉しいでしょ?!

「でも、汗ですよ。」

「うん、ファンなら
 お金出して買っちゃうレベルじゃないの?」

「いや、もはやそれは変質者ですよ」

いやいやいや!
そんなんファンとは言えんだろう!
くそ、誰か俺が変態じゃない
ということを証言してくれ!

と、そこへ通りかかったのはアンナ。
K‐POP熱は冷めたらしいけど、
確かジャニーズも好きだった。
そうだ!
アンナにも聞いてみよう。

「アンナ!ジャニーズ好きだったよね?」

「まぁ、好きですけど」

ジャニーズファンなら俺の気持ちは分かるはず!

「ライブでさ、
 嵐のニノの汗がかかったら嬉しいよね?!」

「・・・?」

アンナはポカンとしている。

「いや、だからさ。
 ニノの汗がもしグッズで
 売ってたら買うよね?!」

「え???キモっ」

そしてアンナは俺を
避ける様に通り過ぎ、去っていく。

ええええええええええええええ!
え???ヤバイ!
てか俺、何言ってんだ?
恥ず過ぎるっ!!
冷静になって考えてみると、
なんで自分でもそんなことを
アンナに聞いたのか分からない・・・

・・・でも、アンナって
嫌そうな顔しても
やっぱりカワイイな・・・

キモっっっっっ・・・
キモっっっ・・・
キモっ・・・・
冷たい目のアンナが発した言葉が
俺の頭の中でリフレインする。

・・・うん、悪くない・・・

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キモイとなじられて喜ぶ俺は
やっぱり変態なのかもしれない。


〇〇まん

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「あいつの彼女、
  絶対『サゲまん』だよな~」

店長は、休憩所で寝ている
ヒロセを指さしている。

「あいつ、いっつも寝てるじゃん?」

「まぁ、そうですね」

「毎晩彼女が求めてくるらしいよ。
 それも2回も3回も」

「え?!」

羨ましいやら妬ましいやら。
でも毎晩はさすがに疲れるな・・・。

「まぁ、ラブラブって証拠じゃないですか。」

「いや、最初だけだよ。
 結婚したら一気に冷めるから」


 う~ん、店長が言うと
妙に説得力があるな・・・。

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「そうだ!オノ君!
 おれ嫁と離婚することにしたから!」



あ~店長のいつものが始まった。
店長はいつも
奥さんの愚痴を言っては、
離婚する!を繰り返している。

「またまた~」

「いや、もうこれ以上は待てない!
 だってさ!聞いてよ!
 娘の成績が悪いのを
 俺のDNAのせいにするんだよ?!」

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え~~・・・

「おまえのDNAも
 入ってるっちゅーんだよ!!!ねぇ?!」

「あぁ・・」

「もう頭きたから、
 勢いで弁護士に電話しちゃったよ!」

「え!!!
 娘が成人してからって
 言ってませんでしたっけ?」

「いいんだよ!もう!
 俺は俺の人生を取り戻す!」

店長は興奮気味にそう言い切ったものの、
どこか浮かない顔をしている。

「ただ一つ・・・問題があるんだよね」

「なんですか?」

「俺さぁ・・・」

店長は、自分の過去を語りだす。
昔、店長は、なにをやってもダメで、
脱サラ後、自分で始めた雑貨店も
経営難で潰してしまったらしい。
その借金で途方にくれている時に、
奥さんと付き合い始め、
それ以来、仕事がうまくいくわ、
お金は入ってくるわ・・・。
結婚して入社した今の会社でも、
あれよあれよと同期を抜き去り、
出世街道をひた走ってきたらしい。

「そう。悔しいけど完全に
 『アゲまん』なんだよね・・・」

「じゃぁ・・・
 奥さんと別れたら
 仕事がダメになる・・・?」

「止めてー!!!それは言わないで!」

 



あ“~~~~!!!!

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カープが負けた・・・

未だ、気持ちが落ち着かない。

口惜しい。ほんとに口惜しい!!!

初回の菊池の送りバント
決まっていれば・・・
その後の田中の盗塁が決まっていれば・・・
2回のノーアウト1、2塁のチャンスで
先制点を奪えていれば・・・
うああああああ

でも・・・
正直、ソフトバンク
文句なしに強かった・・・
特に、MVPも獲得した甲斐拓也選手。
結局、6度の盗塁を
「甲斐キャノン」に全部、阻止され、
チャンスの芽を摘まれた。
カープは甲斐選手に負けたと
言っても過言ではない気がする。
あの強肩に加え、リードも良い。
育成の選手とは思えん・・・
どこに隠しとったんじゃ!

ただでさえ、ホークスのピッチャー陣は、
強者ぞろいなのに。
武田翔太がリリーフにおる
とか卑怯じゃろ!

強い・・・

それでもなんとか
奇跡を起こしてくれると信じてたけど、
付け入る隙がなかった・・・

最後、テレビは
カープ鈴木誠也選手が
アウトになる瞬間を映していた。
そして、その瞬間を見つめる
ベンチの新井サンや、緒方監督の表情。
終わった・・・と。

それを見ていたら、
思わず涙が出てきた。
自分の事のように口惜しい。

今でこそ、セ・リーグ3連覇する
ほどの強いチームになったけど、
少し前までは、ほんとに弱かった。
俺も小さい頃から
5位とか6位のBクラスを
ウロウロしてるカープしか
記憶になかった。
そんな弱いチームでも、
球場で、テレビの前で、
一喜一憂しながら応援していた。
そのチームが、
日本一という栄光を
掴み取れるかもしれない。

もしかしたら、俺は
どこか自分に
重ね合わせていたのかもしれない。
自分も負けてばかりのイマイチ人生・・・
そこからどうにか這い上がって、
何かを掴み取りたい、と。
そんな夢をカープというチームや
選手に託し、
その勇姿を見せてくれ!・・・と。

今回は、負けてしまったけど、
カープはこれで終わりじゃない。
来年、そしてその先も続いていく。
俺も。

そんなこと言っても、
まだまだ悔しさは消えないけど、
でも・・・
カープも頑張ってくれた。
勇気と感動をもらった。
ありがとう!

緒方監督、選手、
コーチや裏方のみなさん、
1年間お疲れ様!!!

俺もあきらめない!
だから、
カープもまだ頑張ってくれ――――!!!